21.天界の図書館

「アーカシックレコードには、宇宙のすべてのデータが保管されているんだよ。予言や予知は、アーカシックレコードからデータを引っ張り出してくるものなんだ」
信徒の間で耳にするそんなオカルト風な話を、私はたいてい「ふーん」といって聞き流していた。一口に「信徒」と言っても、それぞれの興味や関心は違っていたと思う。修行が好きなタイプ、法則を学ぶのが好きなタイプ、救済にひかれるタイプ、超能力やオカルトが好きなタイプという分け方をするなら、信徒時代の私は修行が好きなタイプだった。
「アーカシックレコードは天界の図書館とも言うらしいよ」と誰かが言った。
「天界の図書館? 最近の夢でそんな雰囲気のところへ行ったなあ…」
私はしばらく前に見た夢を思い出した。

とても古い図書館の一室のようだった。
高い天井いっぱいに造りつけられた本棚には、分厚い本がぎっしり詰まっていた。並んでいるのは古びた立派な皮装の本で、背に書かれているのは見知らぬ文字ばかりだった。
棚から適当に本を抜き出して、部屋の中央にある大きなテーブルの上に置くと、本は三十センチほど空中に浮き上がってひとりでにページが開いた。
また、知りたいことを心に思うと、一冊の本が棚から出てきて、該当するらしいページが自動的に開いた。そんな現実を超えたオートマチックな図書館なのに、部屋と本の様子が古色蒼然として重厚な感じがするのが奇妙だった。「魔法」という言葉がぴったりだが、それはオカルトと同じくらい私の趣味に合わなかった。
本棚を見上げて、私は「おや?」と思った。
背文字が読める本が一冊ある。私の名前が書かれた本――どうやら私の生涯が書かれている本のようだった。それを取り出してテーブルの上に置くと、本は浮き上がり、最初から自動的にページがめくられていく。読んでいくと、よく知っている私の人生の出来事が書かれていた。今より先の未来にかかわるところにくると、ページの表面が強く発光してまぶしくて文字が読めない。そのままページはめくられていった。
最後に「パタン」と本が閉じると、「私のこの人生は終わった」という感覚があった。読んでいないにもかかわらず、今後私の人生にどんなことが起こり、どうやって死んでいくのかわかった、という感じが残った。

このリアルな夢を見てからは、現実にはあり得ないオカルト的な話――たとえば「天界の図書館」というトンデモな話でも、ひょっとしてこれも一つの「現実」と言えるのかもしれないな…と思うようになった。後に、よく似た世界を経験した修行者の体験談が機関誌に載った。ずいぶんたってから、教祖の説法でも「天界の図書館」について語られた。
「実は今から三日前、天界にあるアストラルに図書館というのがあるのだが、そこでは、例えばここにいる君たちの一生一生が一冊の本、ファイルとして現われる。それを、例えばその本を開くと立体映像としてね、現われてくるんだけども、そういう図書館に行ってきた。ところが、そこでは麻原彰晃のコーナーは、ものすごくたくさんの本が存在し、そしてその下にもいろいろなビデオとかテープが存在していると。…」(一九九四年四月二七日)



2015年03月14日

コメント

No title

やっぱりその本にも事件のことが書かれてたりしたんですかね。
だとすると…色々感慨深いものがあります。
  • | 2015-06-13 | Aleph信徒みにろ URL [ 編集 ]
      

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