15.カルマの法則

オウムの教えの大きな柱に「カルマの法則」があった。
カルマの法則とは、「なしたことが返ってくる」という因果の法則だ。良いことをなせば良いことが返ってくる。悪いことをなせば悪いことが返ってくる――実にシンプルだ。
入会はしていてもオウムを信じていなかった私は、
「偶然がこの世を支配しているところもあるよねえ…」
とカルマの法則も疑っていた。
あるとき、信徒数人で話しながら歩いていた。
「カルマなんだよなあ」
「カルマって怖いね」
「それはカルマでしょう」
なんでもかんでもカルマで済ませる単純さに、私はいらだっていた。
「カルマ、カルマって、それしか考えられないの? カルマなんてないかもしれないよ!」
腹立ちをおさえられず、そう言い放って振り返った瞬間だった。
ガツッと、なにかが口に強く当たった。
「痛い…」
思わず口を押さえて、うずくまりそうになった。
ありえないことに、通り過ぎた自転車のなにかが当たったようだ。
「カルマの法則」を否定した瞬間に口を打たれるという、神がかり的なタイミングだった。
「言ってはならないことを言ってしまった…」
不信心者の私でさえ、真理を冒涜した罰ではないかと畏れた。
「ほらあ、真理を否定するようなことを言うからだよ。でもさすが修行者だね。悪業を積んですぐにカルマが返ってくるのは、修行が進んでいるんだね」
そんな決まり文句を言われた。
いつもなら「同じことばかり言う」と反発するところだが、沈黙するしかなかった。
そんなことがあって、私はオウムで説かれている真理を否定しないで、慎重に吟味することにした。

「カルマの法則なんてないかもよ!」と言い放った瞬間、口をぶつけたことを、単なる偶然と考えるか、それともカルマの法則は真理だと考えるのか。
私は今こう考えている――カルマという因果の法則を絶対と信じる集団では、カルマの法則ははっきりとあらわれる。
法則を知らず、信じることもない一般社会では、それはあらわれにくい。あらわれるとしても、自分の行為の結果だと肌で感じられるほど早くはあらわれないのだろうと。


2015年03月07日

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コメント

No title

いわゆるサットヴァのエネルギーが強いということなんでしょうね。
  • | 2015-06-13 | Aleph信徒みにろ URL [ 編集 ]
      

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